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住宅建築と大工の仕事

Chap.12 大工は逆算の世界-渋沢教会堂④

2019.05.26

 

 

(渋沢教会建築工事。今回が最終回です。)

 

 

 

 

聞き手
今回お伺いした教会建築工事のお話を聞いて、建築工事は常に考え続けることが大切であることを再認識しました。

 

 

親方
そうですね。現場作業は後戻りできないからね。大工の世界は「逆算の世界」だと、常々言っているんです。

 

 

聞き手
どういう意味でしょうか。

 

 

親方
建物が完成した状態つまり仕上がった状態から、工程を遡るプロセスを頭に叩き込んでから作業に取り組め、ということですね。

 

仕上げの前の作業、その前の作業...という順序、つまり逆算で考えると失敗しない。それをしなかったら、手が止まるか、違う方向へ進んでしまって手戻りするかどちらかなんですね。

 

 

聞き手
まるで、迷路を進むみたいですね。迷路ならば後戻りできますが、大工工事はそれができない。だから逆算で考えろということですね。

 

今回の渋沢教会の構造設計の見せ場は、やはりアーチ状の集成材でした。アーチ状の設計は構造設計士ですが、それを分割して現場で組み立てるにあたってのアイディアは親方が出されたとか。

 

 

 

 

 

親方
そうですね。現場での施工性の問題もあるので、構造設計士さんと一緒に考えました。

 

 

聞き手
住宅でもそのようなケース、つまり大工が構造を一緒に考えることはあるんでしょうか。

 

 

親方
軸組図を見て若干調整する程度で、あとは今はほとんど無いですね。プレカットが普及する前は、仕口や継ぎ手は大工の個性が出ていて多様でした。それが今は簡素化している。プレカット機械の性能の限界が、今の標準となってしまった。

 

 

他の場面でも言えますが、機械やメーカー品が普及すればするほど、デザインに制約がかかり、自由性が損なわれる。進化するどころか退化してしまっていますよね。

 

 

 

聞き手
標準化が進むほど、経済優先の建築となりますね。意匠にも制約がかかる。それを建材の種類で補っている。

 

 

親方
そうですね。木造住宅の技術はとても多様なので、その技術を生かした意匠をもっと再認識していただければいいんですけどね。

 

 

 

4回にわたりお送りした渋沢教会の建築エピソード。現場要員しか知らない特殊工事の背景をお伝えすることを通じて、現場ごとに一から考え抜くことが大工仕事の真骨頂であることが、皆様にご理解いただけますと幸いです。

 

 

次回は、木造住宅の軸組についての解説をお伝えします。