(前回からの続きです)
聞き手
さて親方、創業時代はリフォームがメインだったとか。その当時のことをお聞かせください。
親方 はい。私の妻(平原良子。現在アイ.創建で現場監督や積算、リフォーム工事など幅広く担当しています)が、当時設計をしていました。「どうしたいのか絵にしてくれ。それを私が必ず形にして見せる」という具合で仕事を進めていました。お客様の望むことをできるだけ叶えるために、どんな難しいところがあっても最後までやり抜こうという覚悟でやっていましたね。
※約30年前のリフォームの提案図面とイメージパース
※上の図面のお宅です。つい最近訪問した際の写真。飾らない落ち着いた空気感が伝わります。
__リフォームで一番神経を使うところはどこなのでしょうか。
親方 やはり耐震性です。構造は絶対に無理をしてはいけません。お客様がこの柱が邪魔だから取りたいとおっしゃっても、取ったらどうなるかをご説明した上で、代替案をご提案します。後は、特に耐震性能の低い古いお宅でしたら床下を見たり、壁の状態をチェックして耐震補強をご提案します。接合部が脆くなっていたり、柱の端部が老朽化して危険なケースもありますので適宜、慎重に対応しています。
__耐震のリフォームはケースバイケースで難しい作業も多そうですね。
親方 はい。現場で知識と経験を総動員しないといけません。部分的な補強だけではなく、建物全体を見たバランスが何よりも大事なのです。地震力を均等に負担させるというセンスが無いと、本当の耐震設計とは言えませんしね。
__当時で思い出に残っている現場はありますか。
親方 そうですね。当時リフォームをやってて良く遭遇したのが違反建築でした。それが思い出に残っているというのも複雑ですが。例えば、横浜で違反建築の木造3階建て住宅のリフォーム依頼がありました。2階建てで申請して3階建てにしている訳です。やはりこの場合、2階より下にある構造材が、設計荷重以上の長期荷重を負担していることになりますから、3階部分を撤去するだけで耐震性の問題は無くなるとは言えないのですね。長年の荷重により構造材や接合部が劣化している可能性が高い。それを説明してご希望通りのリフォームをしても、十分な耐震性を確保することはできないと判断したので、結局お断りしました。
__設計図面を見ただけでは分からないことがたくさんありそうです。リフォームの場合、長年建物がどのような状態で構造を保っていたのかを、現場感覚で見極める眼力が求められるわけですね。
※最近のリフォーム提案図面。お客様がイメージしやすい様に写真も添えています。
※無添加住宅の建材でリフォームしたお宅の事例。
耐震構造については改めて詳しくお伝えしたいと思います。次回は新築第1号の話題となります。こちらからジャンプします
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