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子供の生きる力を育む[場]作りの達人たち

親子田んぼと食べるもん学校―中世のマルシェの再興(3)

2019.06.12

 

皆様こんにちは。

 

 

 

今回は、「親子田んぼと食べるもん学校」校長先生の大倉秀千代さんをクローズアップさせていただきました。
(前回の記事はこちら)

 

 

 

大倉さん

 

 

 

「親子田んぼと食べるもん学校」とは?

2004年に岡山県邑久郡長船町(現:岡山県瀬戸内市長船町)で、大倉さんをはじめ町内の農業従事者らによる公民館サークル「長船農学クラブ」が立ち上げた、親子農業体験教室です。

 

 

 

 

 

 

 

 

前回、「親子田んぼと食べるもん学校」の生徒たちが「備前福岡の大市」という巨大マルシェイベントで、自分たちが育てた大根を売る活動もご紹介しましたが、「備前福岡の市」再興したのは、その大倉さんなんです。

 

 

 

 

あえて「再興」と書かせていただきましたのは、小学生が使用する教科用図書で、必ず紹介されている国宝「一遍上人絵伝“福岡市”」。この「中世の市(マルシェ)」を復活させたからです。

 

 

 

小学校の教科書にも載っている一遍上人絵伝「福岡の市」

 

 

絵伝というものは今でいう記録写真。メインは、一遍上人と彼を切り殺そうとしている武士ですが、ここには中世の商都の様子がありありと描かれてあり、中には赤ちゃんをおんぶしながらも生き生きと店番をしている女性の姿もあります。

 

 

 

この絵伝以前に、日本の商業の様子を垣間見ることができる資料がないことから、「備前福岡は“日本経済発祥の地”と言っても過言ではない」と明言される学者もいます。余談ですが、九州の“福岡”は、ここ“備前福岡”にあやかって付けられました。

 

 

 

地元産にこだわったオリジナルメニューが味わえる。人との出会いも市のだいご味。

 

 

 

大倉さんは、農業と消費者を結びつけるために、「備前福岡の市」を復活させ、同じ思いを抱く出店者らとともに市を盛り上げています。市を通して感じることは、「生産者と消費者がお互いの顔を見ることができる」という喜び。顔をみながらいろいろ話すことで、お互い愛着が育ちます。

 

 

 

備前福岡の市の体験授業「うどん作り」の先生をしている大倉さん

 

 

 

地域の子どもたちとこの関係性を育むために、学校給食でも取り入れたいと協議会を立ち上げた大倉さん。生産者と学校給食調理場(センター方式)はもちろん、行政や教育委員会、大学や専門家、PTAや地域応援団とともに、試行錯誤を繰り返しながら学校給食に地場産物導入を促進してくれています。

 

 

 

瀬戸内市内の小学校でも、保護者給食試食会を実施している学校は限られているのですが、我が子が通う小学校では実施されますので、試食会にはいつも大倉さんをお誘いします。

 

 

 

「給食が食べられる」ということは、いろんな人の手間暇をいただき、いろんな人のお世話になっているのですが、センター方式(学校に調理場がなく調理場から各校へ運ぶ方式)ですと、なかなか感謝の心が芽生えにくいのが実情です。

 

 

 

しかし大倉さんが、「このカレーのルーは、調理場の先生たちがいちから作っているんだよ。市販のルーではなくて、私(大倉さん)の小麦とカレースパイスをていねいに炒って作っているんだよ」  「しかも、うちの小麦は機械じゃなくて石臼でひいているいるから、身体に優しいんだよ(※下記に補足説明あり)」と話されたとき、子どもたちは大歓声をあげていました。想像以上の反応でした。

 

 

 

子どもたちは「生産者の顔が見えることに、とっても喜ぶ感性を持っている」ことに、感動しました。子どもたちだって、もっと地域と繋がりたい!もっと地域のいいところを知りたい!ものなのですね。

 

 

 

地産地消で育てる=地域に関心を持つ、地域とつながる。これは、大倉さんご自身の体験に基づいていると言えるかもしれません。大倉さんは、Uターンする前は、我が子が起きる前に出勤し、帰宅はいつも日が変わる頃。息子さんが幼かった頃は、しょっちゅう「お父さん、今度いつ来るの?」と言われていたそうです。

 

 

 

そんな大倉さんがUターンしてうどん屋を継ぎ、小麦を栽培することになり、息子さんも田んぼに入り、どろんこになりながら、遊んだり手伝っていたそうで、自然に一緒に過ごす時間が各段に増えたそう…。そして、店に地元の食材を導入することにより、家庭でも自然に地産物を食べるようになったこと…。自然な流れの中で、息子さんも地域に関心を持ち、地域とつながっていきました。

 

 

 

 

 

現在、息子さんも、父の仕事を受け継ぎ、「一文字うどん」の基本理念をしっかり踏まえつつも若い感性を活かしいろいろなチャレンジをされています。「備前福岡の市」でも大活躍です。

 

 

大倉さんの息子さんもうどん屋を通して地域貢献をしています。

 

 

 

大倉さんは、国産小麦でうどんを作るために、惜しみない努力を注いてこられました。「安易に流されない力」「ないなら作ろう!という探求心」そして「極める心」。まさに「地に足のついた」方だと思います。

 

 

 

 

そして、それが大倉家の次世代にはしっかりと伝わりました。この地域のこれからを担う子どもたちに、大切にしてもらいたいことを、自分のフィールドで伝えていく大倉さんは、子育ての場作りの達人でもあると、痛感しています。取材のご協力、ありがとうございました。

 

 

 

 

「親子田んぼと食べるもん学校」の活動内容は、Facebookページ「田んぼと食べるもん学校」をご覧ください。画像のご提供もありがとうございました。

 

 

石臼製粉について

機械製粉に比べ石臼製粉は、小麦一粒を丸ごとひくため、胚乳だけではなく胚芽・表皮もバランスよく含まれます。また、製粉時による摩擦熱がほとんど発生しないため、小麦の持つ香りや甘味、うま味が感じられ、たんぱく質の変容も少ないため、小麦本来の栄養素が摂取できるそうです。うどんの色が黒っぽく見えるのはそのためです。

 

園児に石臼の説明をしている大倉さん

 

 

食育活動の一環として来た園児たちです