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子供の生きる力を育む[場]作りの達人たち

YKG60-子供たちを地域の課題解決の主役に(2)

2019.04.18

 

 

皆様こんにちは。

 

 

今回は、いよいよ「YKG60(やかげ小中高子ども連合YKG60)」共同代表の井辻美緒さんにお話を伺います。(前回の記事はこちら

 

 

 

YKG60とは?

 

矢掛町(岡山県小田郡)に住む小中高生有志が、地域の課題解決や活性化に自主的に取り組んでいるグループ。

 

共同代表である井辻さん、「子どもたちが持っている『枠』をできるだけ取って、子どもの元々持つ力を信じ、異年齢で協力しながら、地域でやりたいことを、子供達の力で実現することを、サポートしています。大人が手を出さず、徹底的に見守りながら、子供の元々持つ力の大きさ、不完全で未完成であることを受け入れて、協力しあう喜びを日々体感しています。」

 

YKG60の活動についてはこちらもご参考下さい。

 

YKG60のパンフレット表紙です

 

 

 

閉鎖的な田舎町で、行動を決断したきっかけ。

 

ライター:「井辻さん、それではよろしくお願いいたします。早速ですが、結婚を機に、今までご縁が薄かった矢掛町の住民になられたとのことですが、元々ここでの知人はご主人とご主人のお身内だけでしたの!?」

 

 

井辻さん:「はい、第1子が幼稚園児の頃、主人の地元に移りました。引越しする前『矢掛町は閉鎖的だよ』って、いろんな人から言われていたのですが、『井辻家の嫁』ということで周りから可愛がっていただけました。ただ、小さい町ですので、一挙一動逐一チェックが入っていましたね(苦笑)。だから、いつも『いい嫁・いい母でいなければ!』という考え方に支配されていました。」

 

 

ライター:「そんな中、“布ナプキン”と出会ったということですが…。」

 

 

井辻さん:「小さい町ならではだと思うのですが、幼稚園児の母が7人しかいなかったので、もれなく全員PTA役員さん!それがよかったのか、ママ友たちとはとても気軽に話せる間柄になれました。その中の一人が、よりよい暮らしを追及されているタイプで、彼女から“布ナプキン”を薦められ試してみたら、思いのほか心地が良くてびっくり!『こんなに快適なことを30代で知るなんて…もっと早く知りたかった』と話が盛り上がったのです。」

 

 

ライター:「それで、小学生にも教えてあげたいって思われたのですか。」

 

 

井辻さん:「はい、女の子が最初に生理のことを意識するのって、学校の授業で教わって紙ナプキンを配られるタイミングですよね。だったら、『ここで布ナプキンも配られたら、“布ナプキンというものもあるんだ”とか“女性は経血コントロールができるんだ”ということを、使えなくてもいいから知ってもらえるのにね~』と、ママ友たちと盛り上がりまして…。」

 

 

ライター:「幼稚園のお迎え時になんて建設的な会話!ただ、幼稚園児のママが、小学校の校長先生にこの話をもっていくのは、かなりハードルが高かったのでは?」

 

 

井辻さん:「『小さな町あるある』かもしれませんが、ここは小学校の校長先生が幼稚園の園長も兼務されていたから相談がしやすかったのです。初年度は地元の小学校に行き、それから町内7校に配るようになりました。」

 

 

ライター:「町内7校の小学5年生女子全員!?」

 

 

井辻さん:「町内全部の小学5年生女子と言っても60人くらいですから…。それが、初年度1校に配ったときに、思いのほか好評だったようで『6年生にも配ってほしい』ってリクエストもらうほどでした。多分、業者さんじゃなくて『町内の保護者がしている』というのが良かったのだと思います。」

 

 

井辻さん:「実は、『アルデバラン(岡山県笠岡市)』さんの天然薬草染め布ナプキンを使用していたのですが、そこで『幼稚園のママ友とこんな話で盛り上がったんですよね』って話をしたら、『布ナプキンという選択もあるよって、あなたが女子たちに教える活動をしたら?』と言われまして…。『活動ってよくわからない…けど、ワクワクする~♪』ってことでスタートしちゃいました。そこから、『“経血コントロール授業”をしながら、女子たちにプレゼントができるよう、布ナプキンを作って販売して、プレゼント資金を稼ごう!』と、“からだ喜ぶ会”を結成したのです。」

 

 

アルデバランさんのウェブサイトはこちら。

 

からだ喜ぶ会のウェブサイトはこちら。

 

 

ライター:「確かに、布ナプキンを使って初めてわかる“経血コントロール”。昔の人は皆、そうしていたのでしょうが…。私は、布ナプキンを使用することにより、自分の健康管理が見える化でき、状態によっては(ココ最近、自分のことを大切にしてこなかったのね)という気づきにつながったり、逆に(自分の体ってすごい!よくがんばっている)と思えたり、自分の芯が強化されたように思えます。」

 

 

井辻さん:「そうそう、布ナプキンを洗う課程で(もっと自分を大事にしないといけないわ)と思われる方が多いようで、これは大切な感覚だと思っています。」

 

 

インタビュー時の井辻さん

 

 

 

小さな活動から芽生えた郷土愛

 

 

ライター:「布ナプキン普及活動を通して『他人軸のみを尊重していた私』から、『自分軸も大切できる私』をいう思考転換ができた井辻さんですが、ここからどう“郷土愛”が芽生えたのですか?」

 

 

井辻さん:「やっぱりこの活動があったからこそ、私の矢掛町に対する“郷土愛”が生まれたと思っています。郷土愛って、つながり(知り合い)が増えることと出番ができることがセットになって生まれるものだと思うのです。矢掛町の商店街では毎年お祭りが開催されるのですが、引越して1年目は誰からも声をかけてもらえない、2年目からは『〇〇くんのお嫁さんとか◎◎ちゃんのお母さん』と声を掛けられるようになった…でも、この活動を始めてからやっと『みおちゃん』って個人名で呼んでくれる人が増えたのですよね。『知っている人が増える→居心地の良さが強くなる→私、矢掛町好き』!私の郷土愛はこのようにして育まれました。」

 

 

ライター:「自分が今、住んでいる場所で“郷土愛”が持てたら、日々の暮らしが充実しますね。」

 

 

井辻さん:「たとえ行政が『何もできません』と言ったとしても、“郷土愛”を持てる人がたくさんいたら、この地はなんとかなると思っています。」

 

 

ライター:「なるほど。圧倒的な当事者意識ですね。」

 

 

井辻さん:「ママたちだって、みんな何かしら得意なものや好きなものがあって、『わたしはプロじゃないから』って遠慮されるんだけど、それを活かせる出番があれば、楽しく暮らせますよね。『出番がある=ここが好き』になると思いますし…。」

 

 

 

子供たちに「任せること」から始まった活動。

 

ライター:「井辻さんはママたちと協力して、『矢掛の宿場まつり大名行列』というイベントに出店されたこともありますよね。」

 

 

井辻さん:「自分たちが出店することにより、『矢掛、最高!』って、改めて思えました。しかし、(私は楽しいけど、このイベントって子どもが楽しめるブースがないなぁ)と気づき、知り合いに消しゴムハンコ作りが得意な子がいましたので、その子に『矢掛町認定ブランドマークって、まだ町民に知れ渡ってないから、それを消しゴムハンコにして、オリジナルハンカチ作りブースを作ったら、子どもたちも楽しめるんじゃない?』と投げかけてブースを設けてみました。それはそれで成功したのですが、(子どもたちに任せたら、もっとおもしろいアイデアが生まれるかも…来年は中高生にゆだねよう!)と、ふと思ったんですよね。」

 

 

ライター:「それが“YKG60”が生まれるきっかけですか?」

 

 

井辻さん:「きっかけはいろいろありましたが、このエピソードはその中の一つです。」

 

 

ライター:「他にはどんなきっかけがありましたか?」

 

 

井辻さん:「毎年、町内のお寺さんが夏休みに子ども合宿を開いてくださるのですが、当時小学1年生だった次男が合宿に参加しました。縦割り班の中に小学6年生のお兄ちゃんがいて、その子に憧れたせいかその1泊2日でめちゃ成長したのです。今まで好き嫌いが多いし、なんでもすぐムリとか言っていた子だったのに、それが全くなくなって…。『憧れる力ってすごい!』『異年齢との活動時間は子どもの成長にすごい有効!』って強く実感しましたので、(異年齢が集まれる場を作りたいな)って思うようになったのです。」

 

 

ライター:「なるほど…『憧れる』から『真似る』、そしていろんなことを『学ぶ』。異年齢が集える場って貴重ですね。昔はそれこそ、年上の子が近所の子たちをひっくるめて面倒をみていた“ガキ大将文化”がありましたが、そういう関係性を築きにくい時代になってしまっていますよね。」

 

 

 

自治体を巻き込み、中高生を町の課題解決の中心に。

 

 

井辻さん:「(ここで、子どもたちが『あんなことやりたい、こんなことやりたい』って、みんなで言える機会があればいいよね~)と思っていたところ、矢掛町が合併60周年記念事業募集を出していることを知り、ただのアイデア募集かと思い気軽に応募しました。そうしたら『その事業について詳しく教えてください』って町職員さんから連絡がきてびっくり!『事業って何ですか?』って…素人の私はそこからでしたよ(苦笑)。」

 

 

ライター:「そんな『あんなこといいな~できたらいいな~』的なことから、地域と子どもたちをつな“YKG60”が誕生したのですね。そんな“事業の素人”だった井辻さんが、今では地方紙一面を飾るほど岡山県内外で注目をされている「中高生が地域の担い手として社会的な課題解決に取り組む」事業を担っているとは…。当時の井辻さんもビックリかもしれませんね。」

 

 

井辻さん:「そうですね(笑)。子どもたちが地域で活躍ができる場があれば、地域のいろんな人と出会えますし、学び育ち認め合えますよね。子どもたちの発想力や課題解決力、行動力って本当にすごいですよ。私は楽しく見守っているだけですもの♪」

 

 

今回は、ロングインタビューでお伺いした中から、2014年に結成された『YKG60』の誕生秘話をご紹介いたしました。井辻さん、ありがとうございました。